急性心筋梗塞の治療においては、心筋梗塞発症後の虚血の拡大を阻止し、または虚血心筋の保護によって梗塞巣を最小限に食い止めることが重要な課題である。金沢知博先生らは、イヌを用いて左前下行枝の急性冠閉塞モデルを作製し、ニフェジピン前投与による心筋保護作用を検討した。その結果、ニフェジピンを長期間経口投与したイヌでは、対照群と比較して急性冠閉塞後においても著明な側副血行路の形成が認められ、梗塞巣の広がりも有意に小さくなった。
このときニフェジピンは、血行動態が変動する状況下において、心拍数増加を抑制し、さらには心拍出量を良好に維持することができた。この結果から、ニフェジピンが虚血心筋を保護する機序の一つとして、側副血行路の血流増加が示唆された。
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ニフェジピンを前投与したイヌの急性冠閉塞後の摘出心冠動脈造影像 |
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ニフェジピン60mgを4ヵ月間毎日1回経口投与後、左前下行枝を急性結紮し、1週間後の心臓を対照群と比較した。左の対照例と比較して、ニフェジピン前投与群(右)では著明な側副血行路発達による閉塞冠動脈の完全な充満像がみられ、左心室横断面のX線像でも血管網の欠損は見られなかった。
組織学的にみた梗塞巣の大きさは、ニフェジピン前投与群では対照群よりも小さく、これは吻合血管数の増加につれて縮小した。ちなみに、吻合数の増加は側副血行路の増加を意味する。
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