ニフェジピンの狭心症に対する臨床的有効性を世界で初めて報告したのは、ドイツではなく日本であった。しかもニフェジピンの有効性は、二重盲検による信頼性の高い評価法を用いて明らかにされた。狭心症治療薬に対して二重盲検が行われたことは当時としては画期的であった。 新たな狭心症治療薬ニフェジピンに対しArmitageの逐次解析法を用い、狭心症に対する治療効果を判定したところ、ISDN(亜硝酸薬)、プロプラノロール(β遮断薬)に匹敵する好成績が得られた。
ニフェジピンとプラセボの狭心症に対する治療効果を逐次解析法で検討したところ、ニフェジピンの有意な治療効果が認められた。 図の見方であるが、1例ごとの狭心症の改善度を点数で示し、3点以上の差でニフェジピンが有効ならば右上に進み、プラセボが有効ならば右下へと進む。上限の線に達した場合、ニフェジピンが統計的に有意(有効性あり)と判定され、下限の線に達した場合は有効性なしと判定される。
当初ニフェジピンは、狭心症治療薬として開発されたが、現在では高血圧の治療に不可欠な薬剤となっている。村上元孝先生はニフェジピンの降圧作用に着目し、実際にその臨床的な有用性を確認した。これはニフェジピンが降圧薬として成長する礎となった。 村上元孝先生の回顧録には、「本態性高血圧に対しては First Choice薬として問題はあるが、その他の高血圧に対しては十分使用できる。ことに悪性高血圧、腎血管性高血圧、腎性高血圧、他の降圧薬の無効例には得がたい降圧薬と考える」とある。その後、製剤技術が進歩し、当時の降圧薬としての問題点を克服したのが、現在のアダラートCR錠である。
高血圧症患者20例にニフェジピンを1日経口投与し血圧反応曲線から降圧効果を判定した。 その結果、収縮期血圧、拡張期血圧は全例で迅速に低下し、平均収縮期血圧値は投与180分後に21.2%(171.1mmHg→134.8mmHg)(p<0.05)の低下、平均拡張期血圧は20%(p<0.05)の低下が認められた。また本剤投与後30分に心拍数の増加が認められた。
ニフェジピンの基礎および臨床研究にかかわってきた日本の研究者が参加し、研究成果を初めて発表・討議した記念すべき会議。ここでの発表が日独の研究者たちのニフェジピンへの関心を高め、臨床での貢献へと繋がった。その後、研究は目覚しく進展し、1970年代後半から世界的にCa拮抗薬が評価されるきっかけとなった。