アダラートCR錠10周年記念ドクターインタビュー

2008年12月 掲載ドクター

各先生方のご所属は2013年12月現在のものです。

厳格な降圧効果とアディポネクチンを改善するアダラートCR錠

私は、糖尿病合併高血圧の治療において、「24時間にわたる厳格な降圧効果」は極めて重要であり、その意味でもアダラートCR錠は非常に有用であると考えている。また、以前のアダラート製剤は急激な降圧に起因し顔面潮紅などを経験する事が多かったがCR錠になってからはニフェジピン本来の降圧効果は維持しつつ長時間作用型製剤になったことで、副作用等も軽減され使いやすい製剤となった。

糖尿病、高血圧ともに動脈硬化による大血管障害の重要な危険因子であることから、JSH2004ガイドラインにおいても糖尿病合併高血圧の降圧目標値はより厳格に定められている。糖尿病患者のような腎障害を来たし易い患者の治療戦略としてRA系抑制薬が第一選択になるが、単剤で早期から厳格な降圧を達成することは難しく、アダラートCR錠との併用療法が必要となる症例が多いと考えている。

現在、われわれは、アダラートCR錠の新たな可能性についても検討を行っている。それは、肥満や脂質異常症において注目されているアディポネクチンに対する作用である。

アダラートCR錠投与により糖尿病合併高血圧患者において、アディポネクチンが有意に増加するとともに、可溶性接着分子や血小板・単球・内皮細胞の活性化マーカーは有意に低下していた。これらのことからも、アダラートCR錠の強力な降圧効果とアディポネクチンなどに対する改善作用は、糖尿病合併高血圧患者の動脈硬化の進展抑制に有用であろう。

野村 昌作 先生 関西医科大学 内科学第一講座 主任教授

野村 昌作 先生
関西医科大学 内科学第一講座 主任教授


優れた降圧効果と血管の老化抑制が期待できるアダラートCR錠

私が持つアダラートCR錠の印象は、「しっかりした降圧ができる」薬剤である。治療抵抗性の高血圧症例においても良好な降圧効果を発揮し、また1日1回の服薬で安定した効果が得られることから高齢者においても使いやすい降圧薬といえる。

高血圧治療における目的は、本来、脳・心血管イベントを抑制することにあるが、そのためには動脈硬化の進展抑制は大きな因子であり、血管内皮機能を保持し、血管拡張因子であるNOに対する血管反応性を保持することの重要性が明らかにされている。具体的には、ニフェジピンはNOの生理活性を上昇させることや、血小板凝集抑制作用や抗酸化作用などを介して抗動脈硬化作用を発揮することが数多く報告されている。

一方で、動脈硬化が起こる過程においては、血管内皮細胞が障害されアポトーシスが惹起されやすくなる。その結果として炎症などが引き起こされて血管平滑筋の形質が変化し、このことがプラークを不安定化させる最初の引き金になる可能性が示唆されている。

われわれは基礎研究において、血管障害後に起こる血管内皮機能障害や血管平滑筋の形質変化などをニフェジピンが抑制する働きを見出している。優れた降圧効果に加え、このような作用も期待されることから、アダラートCR錠は降圧の観点だけでなく、動脈硬化の進展抑制の観点からも、より早期からの高血圧治療の基本薬となり得ると考えている。さらに、ニフェジピンには老化に関与するシグナルを抑制する可能性も検討され、血管の老化抑制への可能性が広がるかもしれない。

福尾 惠介 先生 武庫川女子大学 生活環境学部 食物栄養学科 教授

福尾 惠介 先生
武庫川女子大学 生活環境学部
食物栄養学科 教授


切れ味の良い降圧効果とPPARγ活性化作用が検討されているアダラートCR錠

アダラートCR錠の特徴と言えば、やはりその強力な降圧効果であろう。繁用されているRA系抑制薬やCa拮抗薬の中でも特に優れた切れ味を持ちつつ、24時間にわたり安定した降圧効果を示すと感じている。

実際、他Ca拮抗薬で効果不十分な高血圧症例をCR錠に切り替えることで良好な血圧コントロールが得られる事をしばしば経験している。特にハイリスクの高血圧例では、早期に厳格な血圧管理が可能となり、現在の治療ニーズにマッチした降圧薬と言えよう。

更に現在の高血圧治療は、患者さんの病態背景を十分考慮した治療戦略が求められている。例えば、メタボリックシンドロームにおいてインスリン感受性の亢進に関与するPPARγが注目されている。PPARγに対する作用といえばインスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジン系薬剤や一部のARBが良く知られているところであるが、われわれの検討ではニフェジピンもPPARγを活性化することを見出している。また興味深いことに、このニフェジピンのPPARγ活性化機序は、チアゾリジン系薬剤や一部のARBのようにリガンドとしてではなくMAPキナーゼを介する可能性が示唆されている。つまり、これまでの薬剤とは異なる作用機序であることから、併用時の相加効果や他剤無効例への有効性が期待される。さらに、ニフェジピンがPPARγの活性化を介してMCP-1などの動脈硬化惹起性因子の発現を抑制する可能性も見出しており、ニフェジピンの有用性は降圧作用に留まらないと考えている。

これらのことが臨床的にも証明されれば、アダラートCR錠は、メタボリックシンドロームや軽度の耐糖能障害を有する高血圧患者に選択されるべきCa拮抗薬となり得る。

松村 剛 先生 熊本大学医学部附属病院 代謝・内分泌内科

松村 剛 先生
熊本大学医学部附属病院
代謝・内分泌内科


高血圧治療の「エッセンシャルドラッグ」といえる、アダラートCR錠

アダラートCR錠の発売から10年が経過した現在、この薬剤の輝きはますます増している。しかしアダラートの歴史について振り返ってみると、決して順調ではなかった。

いわゆるCa拮抗薬バッシングなどの逆風にさらされた不遇の時期もあったが、それでも試練を乗り越えて現在に至っている。逆に考えると、普通の薬剤であればそこで歴史を閉じたであろうが、アダラート製剤は日常診療になくてはならない薬剤であったため、そのような苦境をはねのけて、いわゆる「エッセンシャルドラッグ」としての地位を築き上げた。

その最大の理由は強力な降圧作用にあるが、さらに長時間作用型アダラート製剤が単なる降圧薬や血管拡張薬ではなく、抗動脈硬化作用を併せもつ点にあると私は考えており、エビデンスで証明されている。

特に、冠動脈疾患を有する日本人高血圧例を対象に実施されたJMIC-B研究において、長時間作用型アダラート製剤は、ACE阻害薬と同等以上の心イベント抑制効果を示した。さらに定量的冠動脈造影においては、冠動脈硬化進展抑制効果も認められている。また、心筋梗塞既往例では有意に狭心症の発症・憎悪を抑制しており、今なお、新たな知見が創出されている。

JMIC-B研究は、blood pressure lowering treatment trialists´ collaborationによるメタアナリシス(Lancet 2003.362:1527-35)の解析対象となっているわが国の数少ない臨床試験の1つである。 アダラートは、時代の治療ニーズに呼応して、ニフェジピンの良さを製剤工夫によって進化させてきた。アダラートCR錠が持つ強力かつ長時間安定した降圧効果は、まさに現代の高血圧治療に求めるものであり、その実績ゆえに今後も用い続けられていくと信じる。

由井 芳樹 先生 京都大学医学部附属病院 循環器内科

由井 芳樹 先生
京都大学医学部附属病院 循環器内科